愛犬が草むらで何か言葉にできないものを見つけ、嬉々として口にしようとする瞬間は、飼い主なら一度は経験したことがあるかもしれません。「なぜうちの子はうんちを食べるの?」と疑問に思っている方は、実はとても多いです。これは飼い主からよく寄せられる質問のひとつで、その答えは「気持ち悪い」というだけでなく、意外と興味深いものです。何が起きているのか、そして本当に役立つ対処法をご紹介します。
ポイント
- うんちを食べる行動は、ほとんどの飼い主が思っているよりもずっと一般的で、多くの犬にとっては病気ではなく習慣的な行動です。
- 高齢の犬が突然この行動を始めた場合は、医学的な原因を除外するために獣医を受診することをおすすめします。
- 叱り声を上げるなど、どんな形であれ注目することで、この習慣が続いてしまうことがあります。
- まずは管理から始めましょう。すぐに片付ける、アクセスを遮断する、そして「無視して」のコマンドをしっかり教える、この3つが基本です。
- 市販の抑止剤やパイナップルなどの民間療法は効果がほとんど見られません。本当に効くのは、トレーニングと清潔な環境づくりです。
犬の食糞症とは?
「食糞症」という言葉は少し怖く聞こえるかもしれませんが、実際は糞便を食べることを指す医学用語で、多くの犬にとっては病気のサインではなく、行動上の習慣です。それを知るだけで少し気持ちが楽になるはず。対処には何より忍耐が必要なので、焦らないことが大切です。
また、これは非常によく見られる行動でもあります。カリフォルニア大学デービス校が行った大規模な調査では、約16%の犬が頻繁に糞便を食べ、約24%は少なくとも一度はその現場を目撃されていたことがわかりました。愛犬がこの行動をしていても、異常なわけでも、飼い主として失格なわけでもありません。
出典:Hart et al., The Paradox of Canine Conspecific Coprophagy, Veterinary Medicine and Science (2018)
犬がうんちを食べる本当の理由
多くの場合、答えはあっけないほどシンプルです。食べたいから、です。別の犬のにおいを嗅いで、何かしら魅力を感じてしまうのです。その単純な事実に加えて、繰り返し見られるパターンがいくつかあります。
- 退屈やストレス。特に、やることもなく庭をのんびりうろついているときに起こりやすいです。
- 同居犬や友達の犬から学んだ習慣。
- もともと備わっている採食本能。その強さは個体差があります。
同じ研究では、複数頭の犬を飼っている家庭や、飼い主から「食い意地が張っている」と言われるような犬(机の上の食べ物でも平気で食べてしまうタイプ)に、この習慣が多く見られることがわかりました。ビーグルをはじめとする嗅覚の優れた犬種は、散歩中にさまざまなものを見つけやすいです。それだけ鼻が優秀ということですね。
なぜ自分のうんちを食べるの?
子犬の場合、これはほぼ正常な行動です。母犬は生後数週間、子犬の排泄物を舐めとってきれいにします。子犬は口で世界を探索しますし、ほとんどの子は1歳になる前にこの行動を自然にやめます。
成犬では、主に2つの理由が挙げられます。ひとつは注目を引きたいから。窓越しに愛犬がうんちを食べようとしているのを見て、毎回ドアを飛び出して駆けつけていると、犬はひとつのことを学びます。「この行動をすると、飼い主が来てくれる」ということです。叱られるときでさえ、注目されること自体が報酬になるため、怒鳴ることでかえって習慣が定着してしまう傾向があります。
もうひとつは不安。飼い主が仕事で外出しているときや一人でいるときに主にこの行動が見られる場合は、自分を落ち着かせるための行動かもしれません。その場合、習慣そのものより、根っこにある不安に向き合うことが大切です。
🐾 ヒント:
うんちを食べた犬を叱るのは逆効果です。うまくいっても「見えないところでする」または「飼い主が来る前に急いで食べる」ことを覚えるだけ。最悪の場合、もともと不安が原因の問題に、さらなる不安を加えることになります。
なぜ猫やウサギなど、他の動物のうんちを食べるの?
これは簡単に説明できます。犬には、それがいい匂いに感じられるのです。犬は本能的に他の動物の糞便に引き寄せられます。中でも一番よくある悩みが猫のトイレで、砂をかき回すような行動とセットになっていることも多いです。
管理でほとんどの問題は解決できます。
- ふた付きのトイレや、猫だけが入れる専用のトイレ収納ボックスを使う。
- トイレのある部屋の入り口に猫用の通路を設けたゲートを設置する。
- できる限りこまめに砂を取り替える。清潔なトイレは犬にとって魅力のない場所になります。
庭に野生のウサギの糞が落ちている場合は、一晩で新しく現れることもあるため、完全には管理しきれません。こういうときこそ「無視して」のコマンドが本当に役立ちます。その場で場当たり的に対応するより、きちんと教えておく価値があります。
正常な行動?それとも健康上の問題?
多くの場合は正常な行動です。ただ、時にはそうでないこともあります。どちらかを判断するカギは、行動のパターンです。特にこれまでその行動をしたことのない高齢の犬が急に始めた場合や、体重減少、旺盛な食欲、消化の変化を伴う場合は、獣医を受診することをおすすめします。消化や栄養吸収に影響する病気が関係していることがあります。
知っておきたいリスク
自分の新鮮な糞を食べることは、リスクは比較的低いです。問題になりやすいのは、他の動物の糞を食べた場合です。腸内寄生虫やジアルジアなどの感染経路になり得ます。日頃から次の2つの習慣を心がけておきましょう。
- 寄生虫予防と駆虫を定期的に行い、この行動について獣医に伝えて検査が必要かどうか相談する。
- 習慣的に外で糞を食べているようであれば、年に一度の健康診断に糞便サンプルを持参する。
うんちを食べるのをやめさせるには
医学的な原因が除外されたら、あとは管理とトレーニングを一貫して続けることが解決への道です。一貫性こそが、効果を生む最大のポイントです。
散歩中
先を見ながら歩き、愛犬より先に見つけることを意識しましょう。先に気づいた飼い主の勝ちです。何かを見つけたら、おやつで愛犬の注意を引き、「無視して」と合図して、一緒に通り過ぎましょう。その後、温かく褒めてごほうびをあげてください。見つけたものより飼い主を選んでくれたことに対して報酬を払うイメージです。それが積み重なるほど、愛犬はより確実に飼い主を選ぶようになっていきます。
家の中・庭で
愛犬が口にする前に、毎回すぐに片付けましょう。地味に感じるかもしれませんが、これが最も効果的な対策です。うんちを食べるたびに習慣が強化され、次回また繰り返す可能性が高まるからです。その場所から離れたときは褒めてあげ、庭をできる限りきれいに保ちましょう。
根本原因へのアプローチ:退屈・注目・食事
習慣だけを直そうとして根本的な原因を放置すると、効果は長続きしません。原因に応じた対策が必要です。
- 退屈:精神的・身体的な刺激を増やしましょう。パズルのおもちゃ、においを楽しめる散歩、フードスキャッタリング、トレーニングゲームなどが効果的です。
- 注目を引きたい:定期的に一対一の時間をつくることで、この方法で注目を引く必要をなくしましょう。ソファでゆっくり過ごす時間も立派なふれあいです。
- 食事:栄養バランスの取れたフードを推奨量しっかり与えているか確認し、何かが不足していると思われる場合は獣医に相談しましょう。
- 不安:症状だけに注目するのではなく、分離不安にきちんと取り組むプランを立てましょう。
民間療法とパイナップル神話
犬のよくある悩みには民間療法がつきものですが、この問題は特にたくさんの方法が出回っています。定番はパイナップルを与える方法で、パイナップルの酵素が糞便の味を変えて、食べたくなくなるという理論です。もともと十分まずいのに、とも思いますが。
正直なところ、これはほとんど効果がありません。UC Davis の研究チームは、市販の食糞防止製品11種類について飼い主の体験も調査しましたが、成功率はほぼゼロに近いと報告されています。ガイダンスなしで試みられた行動的アプローチも、大きな差はありませんでした。だからといって諦める理由にはなりません。エネルギーを注ぐべき場所を変えましょう。サプリより、清掃・予防・一貫したトレーニングに集中することが大切です。
👉 ヒント:
研究の中で、犬が食べた糞の大半は生後2日以内の新鮮なものでした。だからこそ、すばやい片付けがどんな対策よりも効果的なのです。
PawChampにできること
この問題の半分は、何が起きているのかを正確に把握することです。PawChampの認定ドッグトレーナーは食糞の問題を数多く扱ってきており、習慣なのか、退屈なのか、不安なのか、あるいは獣医に相談すべき健康上のサインなのかを一緒に整理する手助けができます。
もう半分はトレーニングです。アプリでは短いセッションで実践できるステップに分けて学べます。「無視して」のコマンドもしっかり含まれているので、まとまった時間を用意しなくても、日常の散歩や夜のちょっとした時間に取り組めます。
まとめ
私たちには衝撃的でも、犬にとっては何でもないことです。まず健康上の問題を除外し、即効薬に頼るのはやめて、本当に状況を変える2つのことに集中しましょう。アクセスを管理することと、望ましい選択を褒めることです。なぜ犬がうんちを食べるのかを理解することで、効果が出るまで根気よく続けやすくなります。そして多くの場合、続けた甲斐は必ずあります。
参考資料
犬がうんちを食べる行動(食糞症)は、多くの飼い主が思っているよりもずっとよく見られます。研究によると、約6頭に1頭の犬が定期的にこの行動をしており、多くの場合、病気ではなく、退屈・注目欲求・不安・採食本能といった行動上の習慣が原因です。高齢の犬が突然この行動を始めた場合は、消化や栄養に関する問題を除外するために獣医を受診することをおすすめします。市販の抑止剤やパイナップルなどの民間療法は、研究上ほぼ効果がないことが示されています。実際に効果があるのは、こまめな清掃、猫のトイレや屋外の糞へのアクセスを遮断すること、そして報酬ベースのトレーニングで「無視して」のコマンドをしっかり教えることです。

